笑顔になったとき、上の歯茎が通常よりも広く見えてしまう状態をガミースマイルと呼びます。コンプレックスに感じる方も少なくありませんが、その原因は一つではなく、いくつかの要因が単独で、あるいは複雑に絡み合って生じていることがほとんどです。原因を正しく理解することは、改善への第一歩となります。ガミースマイルの要因は、大きく分けて三つに分類することができます。一つ目は、骨格的な問題です。これは、上顎の骨そのものが縦方向に長かったり、前方に突出していたりする場合です。骨格が基準よりも大きいと、それに伴って歯茎の位置も下がり、笑ったときに唇が上がると歯茎が大きく露出してしまいます。これは遺伝的な要因が強く関わっていると考えられています。二つ目は、歯や歯茎に関連する問題です。例えば、歯の大きさが生まれつき小さい場合や、歯が完全に生えきらずに歯茎に覆われている部分が多い場合(受動的萌出不全)などが挙げられます。歯の見える面積が少ない分、相対的に歯茎の面積が広く見えてしまうのです。また、歯が生えている位置自体が低いことも原因となり得ます。三つ目は、唇やその周りの筋肉といった軟組織の問題です。特に、上唇を上に引き上げる筋肉(上唇挙筋群)の力が強すぎると、笑ったときに唇が必要以上にめくれ上がってしまい、歯茎が露出しやすくなります。また、上唇そのものが薄かったり短かったりして、歯茎を十分に覆い隠すことができないケースもあります。このように、ガミースマイルは骨、歯、軟組織という異なる部位の問題が原因となっています。自分のガミースマイルがどのタイプに当てはまるのかを正確に知るためには、専門家である歯科医師による診断が不可欠です。