子供の頃の癖がガミースマイルを招く
ガミースマイルの原因は遺伝的な骨格の問題や生まれつきの筋肉の強さだけではありません。実は、幼少期の何気ない癖や習慣が、顎の成長や歯並びに影響を与え、結果としてガミースマイルの一因となることがあるのです。子供の顎の骨は非常に柔らかく、成長過程にあるため、持続的な力が加わることで形が変わりやすいという特徴があります。その代表的な癖が、長期間にわたる指しゃぶりです。指しゃぶりを続けていると、指が上の前歯を前方に押し出し、同時に上顎の骨も前方へ成長するように誘導してしまいます。これにより、いわゆる出っ歯の状態になりやすく、上顎が前に出ていると笑ったときに唇がめくれ上がり、歯茎が見えやすくなるのです。また、常に口を開けて呼吸する「口呼吸」の癖も、ガミースマイルの遠因となりえます。本来、私たちの呼吸は鼻で行うのが正常ですが、アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっていると、口で呼吸するようになります。口呼吸が習慣化すると、口周りの筋肉(口輪筋)が緩み、唇が常にぽかんと開いた状態になります。すると、上唇が歯を適切に押さえる力が弱まり、前歯が突出しやすくなります。さらに、口呼吸は舌の位置を低くするため、上顎の骨が正常に横方向に広がらず、縦方向に長く成長する「面長」な顔立ちを助長する可能性も指摘されています。この上顎の垂直的な過成長は、ガミース-マイルの典型的な骨格的要因の一つです。このように、幼少期の指しゃぶりや口呼吸といった一見些細な癖が、長い年月をかけて顎の骨格や歯並びに影響を及ぼし、将来的なガミースマイルのリスクを高めることがあるのです。お子さんの癖が気になる場合は、早めに小児歯科や矯正歯科に相談することが大切です。