口の中に不快な痛みや違和感が生じたとき、多くの人が口内炎を疑います。しかし、口内炎にはいくつかの種類があり、その中でも比較的よく見られるのがカタル性口内炎です。一般的に知られるアフタ性口内炎が白く丸い潰瘍を特徴とするのに対し、カタル性口内炎は口の粘膜が赤く腫れたり、ただれたりするのが特徴で、潰瘍の境界がはっきりしないことが多くあります。主な症状としては、粘膜の赤みや腫れ、熱感、そして食べ物が触れたときの痛みなどが挙げられます。唾液の分泌量が増えたり、口臭が強くなったり、味覚が鈍く感じられたりすることもあります。このカタル性口内炎の最も大きな原因は、物理的な刺激です。例えば、サイズの合わない入れ歯や矯正器具が粘膜に繰り返し当たること、虫歯で欠けて鋭くなった歯や、不適切な被せ物が頬や舌を傷つけること、食事中に誤って頬の内側を噛んでしまうことなどが直接的な引き金となります。また、硬すぎる歯ブラシで粘膜を傷つけたり、熱い食べ物や飲み物でやけどをしたりすることも原因の一つです。これらの物理的な刺激に加えて、口腔内の衛生状態が悪いと、傷ついた部分から細菌が侵入しやすくなり、炎症が悪化してしまいます。さらに、ストレスや疲労、栄養不足などによって体の免疫力が低下していると、普段なら問題にならないような些細な刺激でも口内炎を発症しやすくなり、治りも遅くなる傾向があります。まずは原因となっている物理的な刺激を取り除くことが、カタル性口内炎の治療と再発防止の第一歩となります。