歯科医師が解説するガミースマイルの要因
こんにちは、歯科医師です。クリニックでは日々、歯に関する様々なお悩みを持つ患者さんとお会いしますが、中でもガミースマイル、つまり笑ったときに歯茎が見えすぎてしまうというご相談は非常に多いものの一つです。患者さんのお話を伺うと、多くの方が原因を一つだけだと考えていらっしゃいますが、実際には複数の要因が複合的に絡み合っているケースがほとんどです。私たちの診断では、まず三つの大きな視点から原因を探っていきます。骨格、歯と歯茎、そして唇などの軟組織です。レントゲン撮影で上顎骨の大きさや位置を評価し、骨格的な要因がないかを確認します。次に、歯の大きさや生えている位置、歯茎が歯にどれくらい被さっているかを視診や歯周ポケットの検査でチェックします。そして最後に、実際に笑っていただき、上唇の上がり方や筋肉の動き、唇の厚みなどを評価します。例えば、もともと上顎骨が少し縦に長い骨格の方が、さらに上唇を上げる筋肉も強い場合、ガミースマイルの程度はより顕著になります。また、歯が小さく、かつ歯茎が厚いという二つの要因が重なっている方もいらっしゃいます。このように、原因は一つではないからこそ、治療法も一つではありません。骨格が主な原因であれば外科的なアプローチが第一選択になるかもしれませんし、筋肉の問題であればボツリヌス治療、歯茎の問題であれば歯周形成外科というように、原因の組み合わせや、どの要因が最も強く影響しているかを見極め、最適な治療計画を立てていく必要があります。ガミースマイルは病気ではありませんが、患者さんの心に大きな影響を与えることもあります。原因を正確に分析し、ご本人としっかり話し合いながら、その方が心から笑顔になれるためのお手伝いをすることが、私たちの重要な役割だと考えています。