子供が転んで顔を打ち付けたり、スポーツ中にボールが当たったりして、唇がぷっくりと腫れ上がってしまうことは、誰にでも起こりうるアクシデントです。また、食事中にうっかり強く噛んでしまった後にも、内出血を伴って大きく腫れることがあります。これらは物理的なダメージによる外傷性の腫れであり、原因がはっきりしているのが特徴です。このような場合、まず行うべき応急処置は、患部を冷やすことです。清潔なガーゼやタオルで氷を包み、優しく唇に当てることで、内出血と炎症の広がりを抑え、痛みを和らげることができます。ただし、凍傷を防ぐために、氷を直接長時間当てるのは避けてください。また、口の中が切れている場合は、細菌感染を防ぐために、刺激の少ないうがい薬で軽く口をゆすぐのも良いでしょう。もう一つ、見過ごされがちな物理的刺激が紫外線です。夏の強い日差しの下で長時間過ごした後、唇がヒリヒリして腫れてくることがあります。これは日光皮膚炎、いわゆる日焼けの一種です。唇はメラニン色素が少なく、紫外線のダメージを受けやすいため、特に注意が必要です。日焼けによる腫れの場合も、まずはしっかりと冷やすことが大切です。そして、ワセリンなどの低刺激な保湿剤で唇を保護し、乾燥を防ぎましょう。外傷や日焼けによる唇の腫れは、通常、数日から一週間程度で自然に治まりますが、腫れが異常に大きい、出血が止まらない、痛みがどんどん強くなるなどの場合は、他の損傷も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。