口内炎と一括りに言っても、その種類は様々で、原因や対処法も異なります。中でもカタル性口内炎は、他の口内炎と見分けるいくつかの特徴を持っています。最も一般的なアフタ性口内炎との最大の違いは、その見た目にあります。アフタ性口内炎は、境界がはっきりとした円形または楕円形の白い潰瘍が中心にでき、その周りが赤く縁取られているのが典型的です。一方、カタル性口内炎は、そのような明確な潰瘍を形成することは稀で、粘膜の広い範囲がぼんやりと赤く腫れ上がったり、ただれたりするのが特徴です。いわば「面」で炎症が起きているような状態と言えます。また、ウイルス感染が原因で起こるヘルペス性口内炎は、小さな水ぶくれが多発し、それが破れてびらんを形成するという特徴があります。発熱や強い痛みを伴うことも多く、カタル性口内炎とは症状の現れ方が大きく異なります。カタル性口内炎の原因は、主に物理的な刺激であるという点も重要な鑑別ポイントです。診察の際には、口の中に合わない入れ歯や矯正器具がないか、鋭く尖った歯や被せ物がないかなどを確認することで、原因を推測しやすくなります。患者さん自身が、頬を噛んでしまった、熱いものを食べてやけどした、といった明確なきっかけを自覚している場合も少なくありません。症状としては、ヒリヒリ、ジンジンとした痛みが主で、唾液の量が増えたり、口臭が気になったりすることもあります。これらの特徴を総合的に判断することで、他の口内炎との鑑別が可能になります。正確な診断は適切な治療への第一歩であり、もし自分の症状がどのタイプの口内炎か判断に迷う場合は、自己判断せず歯科医師に相談することが不可欠です。