ガミースマイルと聞くと、骨格や唇の問題を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は歯や歯茎そのものの状態が原因となっているケースも少なくありません。この場合、骨格や唇の筋肉には大きな問題がなく、歯と歯茎のバランスによって歯茎が目立って見えてしまいます。代表的な原因の一つが、歯の大きさが小さいことです。特に前歯が生まれつき小さい、いわゆる矮小歯(わいしょうし)の場合、歯の面積が小さい分、相対的に歯茎の面積が広く見えてしまいます。笑ったときに見える部分に占める歯茎の割合が高くなるため、ガミースマイルという印象を与えてしまうのです。もう一つ、非常に多く見られるのが、歯茎が歯に過剰に覆いかぶさっている状態です。これは、歯が顎の骨から生えてくる過程(萌出)が正常に完了しなかったために起こります。通常、歯が完全に生えきると、歯茎のラインは適切な位置まで後退しますが、このプロセスが途中で止まってしまうと、本来見えるはずの歯冠部分が歯茎に隠れたままになってしまいます。これを専門的には「受動的萌出不全」と呼びます。この状態では、歯が短く見えるだけでなく、歯茎が厚ぼったく見え、ガミースマイルの直接的な原因となります。さらに、歯が生えている位置そのものが低い場合も、歯茎が目立つ原因となりえます。歯が通常よりも唇側に近い低い位置から生えていると、唇が少し動いただけでも歯茎が見えやすくなります。これらの歯や歯茎が原因のガミースマイルは、比較的改善しやすいケースが多いとされています。歯茎のラインを整える歯周形成外科や、歯の大きさをセラミックなどで改善する方法など、原因に応じた適切なアプローチで、笑顔の印象を大きく変えることが可能です。