2025年9月
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医療は対話から始まる共同作業です
これまで様々な角度から見てきたように、インフォームドコンセントは単に「説明書にサインする手続き」ではありません。それは、患者と医療者という、異なる立場にいる二人が、病気という共通の敵に立ち向かうために行う、最初の作戦会議であり、信頼関係を築くための大切な儀式です。治療という旅は、時に長く、険しい道のりになるかもしれません。そんな時、道案内をしてくれる医師を心から信頼できているか、そして自分自身もその旅の目的やルートをしっかり理解し、納得して歩んでいるかどうかが、旅を最後まで乗り越えるための大きな力となります。インフォームド-コンセントは、そのための土台作りです。患者は、自分の体の主役として、知る権利と選ぶ権利を主体的に行使する。医療者は、専門家として、正確な情報と多様な選択肢を分かりやすく提供し、患者の意思決定を誠実にサポートする。この両者の協力があって初めて、最善の医療が実現します。もしあなたがこれから病院にかかる機会があれば、ぜひこの「対話」を大切にしてください。疑問があれば質問し、不安があれば口に出し、自分の希望を伝えてみましょう。そのコミュニケーションの一つひとつが、あなたと医療者との間に信頼という名の強い絆を結び、より良い治療結果へと繋がっていくはずです。医療は、医師が一方的に与えるものではなく、患者と医療者が手を取り合って創り上げていく、対話から始まる共同作業なのです。