-
ボトックスで表情が不自然になるリスク
ボトックス注射を検討する際に、多くの人が抱く最大の懸念は、「表情が不自然になってしまうのではないか」ということでしょう。この不安は、決して杞憂ではありません。ボトックスは筋肉の動きを抑制する治療であるため、その使い方を誤ると、人間らしい豊かな表情を失ってしまうリスクをはらんでいます。このデメリットは、主に施術者の技術力や知識不足に起因します。例えば、眉間のシワを改善しようとして、必要以上に広範囲に、あるいは多量のボトックスを注入してしまうと、眉をひそめる動きだけでなく、眉を上げる動きまでが抑制されてしまうことがあります。その結果、眉が動かなくなり、驚いた時や喜んだ時にも表情が変わらない、いわゆる「能面のような顔」になってしまうのです。また、額のシワ治療では、注入する位置や量が不適切だと、眉毛が本来の位置よりも下がってしまい、目が開けにくくなったり、まぶたが重く見えたりする「眼瞼下垂」のような症状を引き起こすことがあります。逆に、眉の外側を上げる筋肉の働きだけが残ってしまい、眉尻が不自然に吊り上がった「スポックブロー(悪魔眉)」と呼ばれる状態になることもあります。笑った時にできる目尻のシワ(カラスの足跡)の治療でも、注入量が多すぎると、頬の筋肉の動きにまで影響が及び、笑顔が引きつったように見えたり、口角が上がりにくくなったりすることがあります。これらの表情の不自然さは、ボトックスの効果が持続する3ヶ月から半年の間、ずっと我慢しなければならない可能性があります。一度注入したボトックスを取り除く方法は存在しないため、効果が自然に切れるのを待つしかないのです。このようなリスクを避けるためには、解剖学的な知識が豊富で、個々人の表情の癖や筋肉の動きを正確に見極めることができる、経験豊かな医師を選ぶことが何よりも重要になります。