朝起きたら私の唇が別人になっていた話
それは、何の変哲もない水曜日の朝のことでした。目覚まし時計の音で目を覚まし、いつものように洗面所へ向かった私は、鏡に映った自分の顔を見て、思わず息をのみました。そこにいたのは、まるで漫画のキャラクターのように、たらこ唇になった私だったのです。特に下唇がパンパンに腫れ上がり、普段の倍以上の厚みになっていました。痛みやかゆみはそれほどでもないのですが、唇の感覚が麻痺したようで、うまく閉じることができません。前日の夜、何か特別なものを食べた記憶もなく、新しい化粧品を使ったわけでもありません。原因が全く分からず、ただただ混乱と不安が募りました。とりあえず会社に連絡し、事情を話して皮膚科へ直行することに。待合室では、マスクで顔を隠しながら、周りの人の視線が気になって仕方がありませんでした。診察室で医師に症状を見せ、ここ数日の食事内容や使用した化粧品について詳しく話しました。すると、医師が注目したのは、私が前日の夜にデザートとして食べた、少し珍しい南国のフルーツでした。どうやら、そのフルーツに含まれる成分に対する遅延型のアレルギー反応だったようです。自分にそんなアレルギーがあるとは夢にも思っていなかったので、本当に驚きました。抗アレルギー薬の飲み薬と塗り薬を処方してもらい、原因が分かったことで、ようやく少しだけ気持ちが落ち着きました。薬を服用し、刺激物を避ける生活を心がけた結果、腫れは二日ほどで徐々に引き始め、四日目にはすっかり元の唇に戻りました。この一件以来、初めて食べるものには少し慎重になり、自分の体の小さな変化にも気を配るようになりました。あの朝の衝撃は忘れられませんが、自分の体質を知る良いきっかけになったと思っています。