私が歯医者で初期虫歯を褒められた日
定期検診の椅子の上で、私は緊張していました。歯科衛生士さんがライトを当て、一本一本歯をチェックしていきます。そして、「あ、ここの奥歯、ちょっと白くなっていますね。初期虫歯です」と告げられました。がっくりと肩を落とした私に、衛生士さんはこう続けました。「でも、まだ穴は開いていません。これは削らずに治せる可能性がありますよ。今日から一緒に頑張ってみませんか」。その日から、私の歯磨き習慣は一変しました。衛生士さんに教わった通り、フッ素濃度の高い歯磨き粉を選び、歯ブラシの毛先を優しく歯と歯茎の境目に当て、小刻みに動かす。そして、仕上げのうがいはごく少量の水で一度だけ。食事も、間食を減らし、よく噛んで食べることを意識しました。最初は面倒に感じましたが、「自分の歯を守るんだ」という気持ちが、私を支えてくれました。そして三ヶ月後の検診の日。再び衛生士さんが私の口の中を覗き込み、にっこりと笑って言いました。「すごいですね!白くなっていた部分が、透明感を取り戻しています。再石灰化がしっかり進んでいますよ」。その言葉を聞いた時、心から嬉しさが込み上げてきました。エナメル質は再生しないけれど、自分の努力で強くし、守ることができる。それを身をもって実感した瞬間でした。歯を削ることもなく、自分の力で健康を取り戻せたという自信は、これからの人生で歯を大切にしていくための、何よりの宝物になったのです。日々の地道なケアは、決して裏切らないのだと、私は学びました。